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暮らし

子どもがつくる「弁当の日」

先日、幼稚園の案内で講演会に出かけてきました。

講師は、長年 小学校・中学校の校長をされていた、竹下和男先生。
子供に自立の誇らしさを、家族に会話と「くらしの時間」を生み出すことを目標に、
「子どもがつくる弁当の日」を11年前に開始。
現在では講演会などの成果が実り、全国700校以上の学校で実践されている
とのことです。

参加は主に、教育関係者やPTAの方への呼びかけだったのですが、チラシを見て
どうしてもお話が聞きたくて、家族に子供達をお願いして行かせてもらいました。
結果、行って大正解でした。
とても感動したので、冷めないうちに記録しておこうと思います。



「弁当の日」の原則

 1.子どもだけでつくる
 2.小学校5・6年生のみ
 3.月1回、年5回



「弁当の日」に託した六つの夢

 1.「一家団欒の食事」が当たり前になる夢
 2.食べ物の「命」をイメージできるようになる夢
 3.子どもたちの感性が磨かれる夢
 4.人に喜ばれることを快く思うようになる夢
 5.感謝の気持ちで物事を受けとめられるようになる夢
 6.世界をたしかな目で見つめられるようになる夢


入場の際、このようなことが書かれた資料をいただき、これから始まる講演を
少し緊張しながら待ちました。

そして、竹下先生の登場。
「スポットライトは苦手なので、会場を全体的に明るくできますか?」の第一声。
気さくなお人柄が伝わってきて、私の緊張もほぐれていくようでした。

お話が始まると冒頭でいきなりこんな問いかけがありました。

 「自分があと5か月の命だったら、親として子に“何”を残していきますか?」

 
自分だったら...と考えているうちにスライドショーが始まりました。
 
病気の再発で、余命を告げられたお母さんと、もうすぐ5歳の娘さんのお話でした。

お母さんは考えました。

 「私がいなくなった後、娘は生きるうえで必須科目の家事はできるだろうか。」

そこでお母さんは決心します。

 「彼女の手伝いの中に、配膳と料理部門を増やすことが、今後の私の課題。」

そのとき彼女が綴ったブログが、いまでもご主人が引き継がれているという事でした
ので、帰宅後読ませていただきました。

2008年2月16日のブログ、「あなたはこの子たちを残して死ねますか?」
  こちらからどうぞ
 
そして、娘さんが5歳になった次の日から朝食を作ってもらうことに。
ご飯の炊き方、味噌汁の作り方、だしの取り方、野菜の切り方…の特訓を始めます。

まずは鰹節をけずるところからお手伝いしてもらった..というお話を聞き、
いつも だしパックや顆粒のだしの素を多用している私。恥ずかしくなりました。
子供達にも一度も削る前のカツオ節を見せたことがないし、削る道具だって引越しの
とき、どうせもう使わないな...って処分しちゃった。
この時点からして、教える側の私が全然出来てないじゃん!って。
せめて鰹節や昆布でだしを取る所を子どもに見せなくては。。。
深く反省です。

=6/14 追記=
 昨日、お風呂に入っているとき、いた~い思い出が蘇ってきました。(>_<) 追記します。

 中学一年生のときの思い出です。
 家庭科の調理実習で、お味噌汁を作ることになりました。
 7~8人でグループをつくり、材料はそれぞれのメンバーが相談の上、分担して持っていく
 ことになりました。
 私の担当は「だし」。
 何の不安も無く、いつも母が愛用していたマルちゃんのだしの素を持っていきました。
 しかし、他のグループの だし担当の子は、みーんな「花かつお」や「さばいわし」を
 持ってきていたのです。
 もう、顔から火が出そうでした。
 早く家庭科の時間が終わって欲しい! ってそればかり考えていました。
 あれから30年以上経過しましたが、あの恥ずかしさは今でも忘れることが出来ません。
 以来、スーパーでマルちゃんのだしの素をみるたびに思い出が蘇ってきます。
 同じ失敗を子供が繰り返さないようにしなくっちゃ!




また、お母さんが亡くなられたあと、お子さんが忙しいお父さんのために作った
お手紙つきの御飯の写真。泣けました。

もうすぐ5歳といったら、今のうちの子供達と全く同じ。(来月で5歳です。)
今まさに、この時期に、このような決心をされたお母さんの覚悟を考えると、
ぎゅーっと胸が締め付けられるような思いがしました。


このプロローグから、竹下先生が「弁当の日」を始めたときのこと、お弁当を通しての
出来事、子供達やその家族の心の変化が語られます。



お話の中で、心に残ったフレーズです。

 ・子どもは模範と模倣の繰り返しで育つ。あなたのマネをして子供は育っています。

 ・あなたを育てるのが楽しくてしょうがないという態度を見せて。子どもは親の気持ちを
  見抜いています。
 
 ・子供に「今晩、何食べたい?」と聞いてはダメ。
 
 ・子供はもともと野菜が嫌いなように出来ているんです。

 ・小学5・6年の時期に、人のために何かする、人に喜んでもらうことの経験をする
  ことが大切。この時期にその経験をした子は、人の気持ちに共感できる大人になります。
  この時期を逃してはいけない。

 ・下の子が上の子にあこがれる経験が大切。
  5・6年生のお弁当を見て、下級生が、「あんなふうになりたい。○年後にはあれが出来る
  ようになっていなくては!」という気持ちが生まれる。

 ・作ってはじめて、作る側の気持ちがわかる。
  食材を育ててくれた人や、それを運んでくれた人への感謝の気持ちが芽生える。

 ・心の真ん中に憎しみを置いている間は、子供も大人も成長できない。
  感謝の気持ちを持ったときに人は成長する。
 
 ・大切なことに気付いたら、今すぐ始めてください。
  あなたの命は、いつ突然終わってしまうかわからないのです。
 
 ・子供は大人が思っている以上に一人前になろうとしている。

 


言葉の一つ一つが、じわーっと心に響いてきました。
特に最期に書いた「大人が思ってる以上に一人前に。。。」には すごくうなずけます。
ありがたいことに、うちの子供達はとても調理に興味をもっていて、台所に立っていると
「お手伝いする!」としょっちゅう言ってきてくれます。
でも、もやしの根っことりをお願いすると全部2センチ位に折っちゃったり、サラダや
和え物を混ぜてもらうと、混ぜすぎてミキサーにかけたみたいになっちゃうし、テーブルも
床もぐちゃぐちゃ。。。なんてことを繰り返すうちに面倒になってきて、この頃では
「あっちで待ってて!」ってことが増えていました。
これって、せっかく子供達が自立への一歩を踏み出しているのに、わたしがその芽を
摘んでしまっていたんですよね。 
深く反省しました。
今ならまだ軌道修正可能かな?
がんばってみます。^^


  ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~


先生が11年前に始めたこの活動の成果が、今はっきりと現れてきているんだそうです。
第一期生の子供達は今、社会人や大学生になっているのですが、約7割の生徒が食材を
買いに行って自炊しているのだそう。
「弁当の日」を経験していない栄養学校に通う生徒さんにアンケートをとったところ、自炊
している生徒はほとんどいないのだとか。
栄養の勉強をしている学生ですらコンビニで食事を済ませているのですから、7割と
いうのはすごいです。

2時間とちょっとの講演でしたが、一時も退屈せず、興味深く聞き入りました。
もっともっと聞いていたかったくらい。
「弁当の日」、ぜひうちの子供達の小学校でも導入していただきたいな。
私自身もこれを機に生活を見直していかねば!
「食」って生きていく上で全ての基本となるものなんですね。



最期に、11年前の卒業生に 竹下先生が贈った言葉。
とても感動的です。
ぜひ読まれてみてください。  →

5・6年生が作った素晴らしいお弁当が見れます。→
いつもヒーヒー言いながらお弁当作ってる自分が恥ずかしい。(*ノェノ)

最新情報はこちらから。→
by may_tette | 2011-06-13 09:33 | 暮らし

may*です。双子の息子&娘は中学2年生になりました。子ども達に贈る手作りの記録です。


by may_tette
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